フォルム設計に現存する100を超えるインテリアを紹介するこのシリーズ。
今回ご紹介するのは、デンマークのデザイナー Sidsel Verner によって手がけられ、Fritz Hansen より1960年に発表された「Coat Tree」です。
Sidsel Vernerは、日常の動作や所作を丁寧に見つめ、必要な機能だけを残しながらも、空間に静かな美しさをもたらすデザインを追求してきました。本作が生まれた1960年代初頭の北欧では、家具は装飾性よりも、暮らしの質を高める存在として位置づけられていました。
「Coat Tree」は、枝分かれする木の姿を想起させるシンプルな構成が特長です。コートを掛けるという行為に必要な要素のみを抽出し、彫刻的な佇まいへと昇華しています。壁に依存せず自立するフォルムは、空間に自然な余白とリズムを生み出します。
フリッツ・ハンセンが培ってきた高いクラフトマンシップのもとで製作されたこのプロダクトは、機能性と造形美を高い次元で両立しています。時を経た現在においても、「Coat Tree」は北欧デザインの思想を体現する名品として、上質な建築やインテリア空間に静かな価値をもたらし続けています。
